02年8月14日 タカ派のみなさんのための究極の景気対策案
はじめに:
以下に書く提案は、決して私が本気で主張したいアイデアなのではない。
そもそも戦後補償という問題は、何の下心もなく誠実になすべきものだと思っているし、円の国際化なんてしなくていいと思っている。
タカ派のみなさんの言っていることが、筋が通っていないということを示して批判するためのブラック・ユーモアの一種ととっていただきたい。
究極の景気対策:
以下の提案は、日本の景気を画期的に回復させ、あわせてタカ派のみなさんの夢見る「円の国際化」を一挙実現するためのアイデアである。
輸出増で景気は回復:
この案が実現すれば、円を手にした周辺諸国民が日本からモノを買ったり日本に観光に来たりして、日本経済への需要が発生する。それだけではなく、円を売ってその他の通貨に交換する動きが強まって円安になり、輸出が拡大する。キット用の現金を作るのにも需要が発生する。
インフレにはならない:
現在日本経済は多少のインフレになった方が望ましい状態にあるが、この案程度の貨幣発行ではインフレにはならない。
円安による輸入インフレは起こるが、今、日本では安い中国産品に国内業者が圧迫されて、タカ派のみなさんは大変な危機感をお持ちである。多少輸入インフレが起こることはタカ派のみなさんの望むところのはずである。
たしかにこれで発行した円のすべてが日本国内に環流してきたならば、大ブームと共に悪性インフレになるだろう。しかし、ここまでやった場合、周辺諸国では円が決済通貨として使えるようになるために、公衆・企業が円のまま保有する動きがでてくる。たぶん、ほとんどの人は全額を現地通貨に換えたりしない。そのためかなりの割合が周辺諸国で留まる。
それでもインフレが恐ければ、補償の対象や金額を適当な規模にしぼって、需要拡大効果とのバランスをとればよい。
円の国際化はこれしかない:
そもそも、円が本当に国際通貨になるためには、諸国の人々が財やサービスと交換に円を自発的に受け入れなければならない。それは他の人々が円を受け入れるということがみなに確信されてはじめて成り立つ。そのためには、円を使うことが不便ではなく、使う機会が豊富になければならない。そうした環境をあらかじめ作り出すには、こうでもするほかはない。
円が高く、諸外国の人々がまだ日本から買いたいモノがある今のうちがチャンスである。
タカ派の立場の矛盾:
元来戦後補償論への反発というのは、物質的国益を合理的に追求することとは無縁のプライド論だったのである。その点、物質的国益よりも民族の誇りを意識的に上位においている90年代型の国粋主義の方は、筋が通っている。この筋を徹底したのが、国土荒廃し国民が滅びても日本の日本らしさとプライドを守ろうとした戦争末期の軍部指導者だったと言えよう。
物質的国益追求を至上とする80年代型のタカ派は、今やグローバル経済の進展の中で、その立場を徹底することが困難になってきている。その際重要なことは、自分が物質的国益論を論じているのか精神的プライド論を論じているのか意識することだろう。だいたいギャンブルでも何でも、始めたときには経済利益に欲を出して手を出すものだが、負けが込んでくるといつのまにか「意地」が自己目的化してはまり込んでいくものだからだ。