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 03年3月11日 「赤報隊」テロは大成功だったではないか!


 とうとう朝日新聞襲撃関連事件すべてが時効になった。

 今、「赤報隊」の「声明」を読み返してみよう。
 

       告

       われわれは日本人である。
       日本にうまれ 日本にすみ 日本の自然風土を母とし日本の伝統を父としてきた。
       われわれの先祖は みなそうであった。
       われわれも われわれの後輩も そうでなければならない。
       ところが 戦後四十一年間 この日本が否定されつづけてきた。
       占領軍政いらい 日本人が日本の文化伝統を破壊するという悪しき風潮が、世の隅隅にまでいきわたっている。
       およそ人一人殺せば死刑となる。
       まして日本民族全体を滅亡させようとする者に いかなる大罰を与えるべきか。
       極刑以外にない。
       われわれは日本国内外にうごめく反日分子を処刑するために結成された実行部隊である。
       一月二十四日の朝日新聞社への行動はその一歩である。
       これまで反日思想を育成してきたマスコミには厳罰を加えなければならない。
       特に 朝日は悪質である。
       彼らを助ける者も同罪である。
       以後われわれの最後の一人が死ぬまで この活動は続くであろう。
       日本人のあるかぎり われわれは日本のどこにでもいる。
       全国の同志は われわれの後に続き 内外の反日分子を一掃せよ。
       二千六百四十七年 一月二十四日

                                                                                                                          日本民族独立義勇軍 別動
                                                                                                                                      赤報隊 一同

 15年前には、この文章は異常に感じた。
 しかし、今やこのような言説は、日本中ありとあらゆるところに満ちあふれている「普通」の言説になってしまっているではないか。

 左翼はこの15年間何をしてきたのか。「赤報隊」テロは大成功ではないか。
 左翼は犠牲となった青年記者の前に恥じよ。
 私は恥ずかしい。くやしくて、くやしくて、涙が出る。

 少なくとも私は、何年も何年も前から、反米反資本主義の右翼ナショナリズムが台頭するきざしがあるぞと、何度も警告してきた。
 それなのに左翼世界はこうした声に全く耳を貸さず、小林『戦争論』が出たときは「こんなファナテックなデタラメが影響力を持つはずはない」と無視し、いつまでも新自由主義やアメリカばかり主敵とみなして、かえって大衆の反米反資本主義的右翼心情をあおってきた。
 そんなせいで、今ではこの大学など、問題意識のちょっとでもある学生はことごとく小林『戦争論』の信者になってしまっているぞ。
 それなのに左翼は今でもなお、「平壌政権とそれを支える日米政府を打倒するための、日朝の人民連帯」という正しいスローガンを打ち出さずに、「日本vs朝鮮」の図式をわざわざつくり出しては民族排外主義の蔓延を引き起こしている。大衆の民族主義的反米感情に全く無批判のまま、イラク反戦につなげている。
 いったいこの国をどうしようというのだ。自分のやっていることの意味がわかっているのか。

 お願いだから左翼のみなさんにはいいかげん目を覚ましてほしい。
 「目を覚ました」つもりになって逆に右翼に転向しそうなところが恐いが。
 
 
 


 

 

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