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 03年8月13日 山田助教授中国当局に拘束される


 昨年9月20日のエッセーに書きましたが、私は、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」というNGOの、会費を払うだけの不真面目な会員を続けています。この会は、北朝鮮でひどい目にあっている元在日コリアンとその家族を救い、北朝鮮の民主化を実現するための活動をしているNGOで、中国に潜伏する脱北者の亡命支援も行っています。
 この会の会長である山田文明大阪経済大学助教授が、このほど中国で脱北支援活動中、脱北した元在日の家族や支援の韓国人とともに、中国当局に拘束されました。解決が長引くという報道もあり、今後が気づかわれます。
 機会がありましたらみなさんの御支援をお願いします。

 詳しくはこちらの記事を御覧下さい。

毎日新聞
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20030813k0000m040091000c.html

朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/0811/023.html
 

 実はこの6月3日韓国で、北朝鮮の収容所を経験した脱北者である姜哲煥、安赫の両氏(著書)は、「北朝鮮民主化のための政治犯収容所解体運動本部」を結成しました。上記「守る会」は、これを記念して両氏を9月に招聘し、証言集会とデモ行進をすることを企画しています(詳しくは、「北朝鮮難民救援基金」関係者らしき人のホームページをご参照下さい。なお、同基金は今回の事件についての声明も出しています)。
 これを控えた矢先の今回の事件で、山田さん本人はもちろん、関係者みなどんなに大変な思いをしているだろうと思います。

 「守る会」の機関紙「かるめぎ」の8月7日号に、政治犯収容所解体運動本部の創立宣言が載っています。小川晴久氏の格調高い訳で心を打ちます。勝手に引用させていただきます。

 天が初めて開け、人間の印が刻されて以降、我々は北朝鮮の首領独裁体制のような人間を残忍に破壊する社会を聞いたことも見たこともない。居住の移転、旅行の自由をこれほど完璧に統制してしまう社会が、東西の全空間と古今の長い歴史を通して存在することがあっただろうか。
 思想と宗教、良心の自由がこれほどまで蹂躙され、50年間デモ一つ起きない独裁権力が存在したいという事実に我々は唖然とせざるを得ない。あらゆる生命体が譲渡することのできない、放棄することのできない権利の出発である生命権までも、首領の屍に自ら進んで捧げる社会で、近代の常識である平等、人権、言論の自由、集会と結社の権利は痕跡すらなくなって半世紀を越えてしまった。人間の尊厳は北朝鮮のどこにも見いだすことができないようになった。
 家族が家族を恐れ、隣が隣を意識し、友だちが友だちを監視しなければ、それほどの生命ですら保つことのできない所! 金正日の執務室と豪華な別荘を除いて、12万3千平方キロメートルのそのどこにも完全な自由はない。我々はこのような北朝鮮を巨大な監獄と呼ぶ。
 この巨大な監獄の中の特別監獄、いわゆる「特別独裁対象区域」と呼ばれる恐怖に染まる場所があるが、そこがまさしく政治犯収容所である。首領の写真をきちんと保管できなかった罪で、名前すら聞いたことのない遠い親戚が反動であるという理由で、父親が地主であったり、キリスト教信者であったり、6.25(朝鮮戦争)のとき国軍(韓国軍)を助けたという理由で、南朝鮮(韓国)の歌を口ずさんだというしくじりで、生きるため国境を越え、宣教師に食糧を求めたという重大犯罪で、ある日人知れず引っ張っていかれる所が政治犯収容所である。
 トウモロコシ1膳と塩1匙で14時間の重労働とむちに耐えねばならない所、逃走した友だちの公開処刑された死体の上につばを吐き、石を投げ、呪いを浴びせなければ生命を保つことのできない所、ヘビやネズミを捕まえた日が最高の幸運となる所、生きていることが一番大きな苦痛で恥辱である所、自分の生命を呪うようにしてしまう所、そこがまさしく金正日が作った北朝鮮政治犯収容所である。
 ナチ収容所に次ぐ、前代未聞の人間屠殺場で死だけを祝福として待っている20万の政治犯をそのままにしておいて、どうして2千万の北朝鮮人民が自由であることができようか。
 数十万、数百万の生命を独裁の手段とする首領唯一体制を頭にいただき、どうして朝鮮半島の平和と東北アジアの安寧を論ずることができ、人類の正義、人間の良心、自由と博愛を歌うことができるだろうか。
 最小限の良心と兄弟に対する愛が残っている者は、北朝鮮人民の苦痛に耳を傾け、正義の種を持つものはこぶしを握りしめろ。平和を本当に希望する者は、我々と手を取り合おう。人類が互いに愛し、共に発展することを夢見る者は、共に肩を組もう。北朝鮮人民も人間としての尊厳をもつ。ここにいるすべての者は共に進もう。
 今日我々は「北朝鮮民主化のための政治犯収容所解体運動本部」を結成したが、20万の政治犯と2千万の北朝鮮人民たちに、へし折れることのない希望になろうとし、人類に良心と愛があることを証言する旗印となろうとしている。
 我々は必ず勝利するであろうし、北朝鮮人民を救出するであろう。
 日本の左翼運動がまだ若く正義感にあふれていた時、このような文章が、あちこちのビラからパンフから、あふれていたではないか!!
 いつから我々はかれはててしまったのか。
 社会正義に燃え、不条理に怒り、弱者を思いやるすべての左翼社会主義者が初心にかえり、この運動に連帯する日がくることを強く期待します。
 
 
 


 

 

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