04年3月11日 反米から入米へ
今年のアメリカ大統領選挙、立候補者も出そろったみたいだし、そろそろ本番というところだろうか。前回のエッセーで、「ブッシュ落選運動」について触れた。もともと韓国のチョウ・ヒヨンさんという人が、韓国の選挙で実績をあげている「落選運動」にならって言い出したらしい。で、ムンバイの世界社会フォーラムで韓国の市民運動が提起して、激論を呼んだということだ。だいたいは好意的意見で盛り上がったようだが、効果についてだとか、民主党ならいいのかとか、米国内の反発を呼んで右派に利用されないかとかといった懸念も出されたらしい。まあいろいろ戦術的に考えなければならないことは多いけど、基本線としてはおもしろいアイデアだと思っている。
という間に、なんと本場アメリカで、あの億万長者のジョージ・ソロスが、「ブッシュ落選運動」を始めたということだ。それも半端でない金をかけて、マーケット調査よろしく効果分析を厳密にやりながら進めているという話である。詳しくはこちら。
イラク開戦より以前の2002年10月14日に、ニューヨークタイムズ紙に、アメリカのそうそうたる財界メンバーがイラク反戦の一面広告を出していた。私もそれを読んだが、左翼新聞みたいな論調だった。変節しきった社民党なんかよりよっぽどすごい。
だから「ブルジョワジー=戦争勢力」という紋切り型の図式はもはや成り立たないのだ。もちろんブルジョワが反戦派だとも思わないが、ともかく、今回のこのタイミングでのこの形態でのイラク戦争は、世界の総資本の利益にもアメリカの総資本の利益にも反している。ブッシュ政権のとりまきの、それこそ「クローニー」の利害だけにひきずられた政策だったのだ。
そうすると世界資本主義経済全体に深刻な影響を与える政策選択が、一部のアメリカの国内的利益だけにひきずられてなされることは、世界の総資本にとってもアメリカのグローバル・ブルジョワジーにとっても非常に不合理な事態である。全世界の人民大衆にとってはもちろんのこと、支配階級にとってもそうなのだ。
というわけで私のアイデアの提案である。「反米運動」はもう古い。世界中で「入米運動」を起こそうではないか。
すなわち、世界中の国で、アメリカ合衆国に加盟する運動を起こすのである。世界中に影響する政府は世界中の人々で選ぶべきだ。
で手始めに今回の大統領選挙。世界中で参加要求を出し、まあ認められるわけがないから、ウェブ上か何かで勝手に投票してみたらどうだろうか。二重登録や二重投票を防ぐシステムをきっちりできれば、結構簡単に組織できるような気がするのだが。