松尾匡のページ

 04年3月23日 やっぱり早く撤兵してもらわなければ


 反政府陣営の中にはこんな人格最低のヤツがいるかもしれない。イラクで自衛隊員に死者が出たら、責任論を言い立てて倒閣に結び付けたり、撤兵運動を盛り上げたりしようと思って、ワクワク期待して待っているヤツらである。
 ところがこういう下劣な期待に胸を膨らませているのは、向こうの陣営にもいるのだ。稲葉振一郎さんのサイトで知ったリンク先なのだが、こんな情報を教えてくれるページがあった。
http://d.hatena.ne.jp/johanne/20040115

 つまり、派兵推進側の論者達が、派兵が決まった直後になって急に派兵の危険性を言い立てるようになったというのである。詳しくはまあ読んでみて欲しい。ある外交評論家は「自衛隊からかならず死者が出る。そのときこそ日本が『普通の国』になる好機だ」と本当に言っていたそうだ。
 こないだ漫画家の石坂啓さんが久留米に来て講演してくれたけど、同じような危惧を言っていた。自衛隊員に死者が出たら、出したのが悪いというふうにはならない。死者は英雄となり、この死を無駄にするなというふうに世論がもっていかれると予想していた。
 たぶんそうなるだろう。上のリンク先にも書いてあるとおり、そのときには「憲法が彼らを殺した」が宣伝文句だ。
 まったく、よこしまな期待からはよこしまな結末しか出てこない。頭の悪い人格最低野郎は頭のいい人格最低野郎にはかなわないのだ。

 つくづく自衛隊員には一人も死なないで欲しい。一人も死なないうちに早く撤兵させなければならない。

 こうなったなら支配階級やアメリカの利益に訴えるのもアリだろう。本当は以前も言ったとおり他人の不幸で大もうけをたくらむようなことは良くないとは思うのだが、この際そんなことは言っていられない。イラク復興債を買い入れるなり、為替介入と称してイラクディナールを買い入れるなりの形で、日銀が大量の円をゼロから発行して、それを復興資金としてイラクの人々やアメリカにばらまき、派兵を免除してもらえばいい。
 日銀がゼロから作り出すおカネだから誰のふところも痛まない。アメリカが目の玉をむくぐらいの大金を出せばいい。日本が中東に軍事的足掛かりを築いたり、改憲して自由に軍を海外展開できるようになったりすることは、長い目で見て絶対にアメリカの国益に合わない。しかも今へたに兵を出しても実際には現地の米軍に世話をかけるだけだ。巨額の資金の方がアメリカの利益に合うにきまっている。
 しかもこれでデフレは止まって復興需要で日本の景気は良くなる。財界のみなさんには大もうけしてもらえる。まだデフレの今のうちがチャンスだ。数年後にはもうできなくなるぞ。

 というわけで、今度の参議院選挙では是非とも護憲勢力に進出してもらわなければならないのだが、去年私が5月15日のエッセーで訴えた「革新共同名簿」と同じテクニックのアイデアを働きかける運動が実際に起こっている。
「イラク派兵に反対し憲法を生かす共同候補擁立を求める懇談会」
 「呼びかけ人」を募集しているけどまだ目標人数には達していないそうである。みなさんの御協力をお願いします。
 


 

 

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