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 06年10月14日 また社共を愚痴る


 安倍内閣ってのはあれですよね。言いたいことやりたいことがあるのに、アメリカが怒るからできないとか、経済がうまくいかなくなるからできないとか、いろいろあるので、アメリカが興味持ちそうにない分野で、経済にも影響なさそうなところを見つけて、やりたいことやりまくるぞって感じですよね。
 ところがこっちは、やっぱり思い通りにならない現実にさらされている点ですっかり同じ姿勢になってしまっていて、軍事大国にしようが企業天国にしようが勝手にやってもらっていいから、頼むから内面の価値観にだけは踏み込まないでと望んでいるのに、まさにその内面の価値観こそ、アメリカからも怒られず経済にも影響しない分野として、あの人達がこれからズケズケ踏み込んでこようとしているところなのだから、憂鬱きわまりない。
 しかし一見アメリカにも経済にも差し障らないようなこんな分野こそ、あの人達の好きにさせると日本社会に長期的に見て深刻な影響を与えるのである。今後グローバル経済の現実がどんどん進行していって、それと矛盾する内向きに凝り固まったナショナルな価値観とのギャップが耐えられないところまできたとき、いったい何が起こるだろうか。

 それなのに社共は相変わらず的外れだし。
 安倍さんの日中首脳会談なんて、少数独裁政治家と本音ファシストの談合じゃないですか。中国人民から見たら、自分達を抑圧する独裁者と、侵略の反省をあいまいにする日本のリーダーが手を結んで自分達に対峙してくるという構図。今後民主化運動ほど反日になる流れになるでしょう。
 それなのに社共は日中首脳会談を評価しちゃうし。共産党の談話なんか「歓迎」一色で何の批判のトーンもない。民主党の方がよっぽどましよ。「歴史認識を曖昧にしたままの対応では済まない」とはっきり批判している。
 民主党に超えられてどうする!! なんと、中川さんからは「日中首脳会談の成功を、社民党や共産党でさえも評価しているのに、素直に喜べない野党が一部にあるのは少し残念に思う」などと言われてほめられてしまっているのだ。情けない。

 こないだ社民党の機関紙の「社会新報」には、フランスの極右国民戦線の議員への肯定的なインタビュー記事が載っていた。これを見た時は怒りで呼吸困難になりましたよ。イラク反戦だからいいという評価らしい。その国のことはその国にまかせよとか、その手の理屈でのアメリカ批判やイラク反戦論なら、小林よしのりでも西部邁でも言ってます。フランス社会党が機関紙で小林よしのりの肯定的なインタビュー記事を載せてたりしたらどんな気持ちがするのかね。

 こんな社共にでも期待しないと日本のファッショ化を止められないのは自分の非力さのせいというしかない。ときどき絶望的になってくるけど、絶望しては生きていけないからともかく毎日やれることをやるしかないのですよね。あ〜あ。
 


 

 

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