02年11月14日 今度は左翼のための資本家援助案だ!!
はじめに:
8月14日のエッセーで、僕は右派に対する皮肉のつもりで、右派が「こんな奴らにはお金をやりたくない」と思っている戦争犠牲国民衆に円をばらまけば、日本は右派の立場からして望ましい利益を得られるという逆説を述べた。
しかしよく考えてみたら、こうした逆説は、左翼に対しても成り立ったのだ。左翼が「こんな奴らにはお金をやりたくない」と思っている人々に円資金を使えば、左翼的価値観にとってまことに望ましい結果がえられるのである。これは皮肉ではなくて、今回は結構まじめに主張したい。
円で農地・工場を解放する:
8月14日のエッセーはもちろん僕が本当に主張したいことではない。発展途上国民衆に対して、賠償にせよ援助にせよ、直接円をばらまくだけということは望ましいことではない。なぜなら、そうなったらその円で、生活に必要な必需品まで日本から買うことになるので、同種のものを作る現地の生産者にとって打撃になり、自立的な経済建設の妨げになるからである。
しかし、円を使って現地の地主から土地を買い、その土地を現地の農民に分配したらどうか。あるいは円を使って、劣悪な労働条件で労働者を酷使している資本家から工場を買い取り、その工場をそこで働く労働者集団に譲渡したらどうか。そのこと自体、現地の農民・労働者の厚生にとって極めて望ましいことだろう。彼らは自立して生活するための手段を手にできるからである。
三方三両得:
この場合、権力的に接収するわけではないのだから、地主や資本家には、支配をやめるに値する十分な円を渡す。
同じ500万円でも、500人の大衆に1万円ずつ渡したならば、それはほとんど必需品のために使われるだろう。しかし、一人の地主に500万円渡したならば、必需品の需要にまわるのはごく一部だろう。たいていは、現地にとっては奢侈的なものを、日本から買うのに使われる。したがって、必需品を生産する現地の生産者に対する打撃は抑えられる。奢侈品を生産する生産者は打撃を受けるかもしれないが、そんなものはそもそもなくてもいい。解放された農民・労働者たちが適切な労働移動を組織することができれば、むしろそんな部門はつぶれてくれた方が健全な経済建設にとっていいだろう。
そして、日本経済にとっては需要につながり、雇用も増える。
現地必需品産業への打撃を完全になくし、日本経済への需要を確実にするためには、円ではなくて、財クーポンみたいなもので土地や工場を買い取ればいい。つまり、日本車や日本の家電製品の購入券とか、子息を日本の大学等で学ばせるための授業料クーポンだの奨学金資格だの(実はこれが本当に言いたいことだったりして…^^!)というものをセットにして渡せばよい。
現地農民や労働者は自分達の土地や工場を手にできる。地主や資本家だった者は悠々自適の引退生活が保証される上子息を留学させることができる。日本経済の景気回復も助けられる。正に三方三両得である。