松尾匡のページ

 05年7月1日 近況


 新学期に入ってからこのエッセーの更新がぴったり止まっていましたが、はい、もちろん殺人的な多忙さが続いているのです。

 そういえば、以前、心理経済学で有名なM木さんが、S医科大学から本学の心理学科に移ってきたことがあって、一緒に研究会をしようと話していたのだが、その後廊下などで顔をあわす度にお互い「暇がありませんねえ」と言いあって延び延びになってきた。そうこうしているうちに、いつのまにか顔を見なくなっていたと思ったら、関東の私大に移っていた。ここには二、三年しかいなかったじゃないか。ネをあげたなM木さん。

 まあもともとこういう大学ですけど、今年度は特にすごい。まずもって学部の学生委員長の仕事がまわってきた。今年は僕は厄年なのだけど、「役年」だった。同音同義語。「役払い」に行っておくべきだった。事前に雲行きを察知したので、他の委員になる工作をいろいろしたけどダメだった。
 学生委員長になるとアテ職が15くっついてくる。おまけに留学生委員とかなんとか前からやっているのは継続だし。会議だらけだ。

 その上にいちばん時間をとっているのは、トップページにも書いてあるけど、一年生向けの入門講義の「経済学概論」の準備である。これまで教科書に使ってきた『はるかさんとラピート君の入門今どきの経済』(著書)がデータ賞味期限切れで使えなくなったこともあり、来年度からのカリキュラム改正をにらんで、新入生の3分の1を対象に、基礎教育改革の実験を始めたのである。それで、コンピュータセンターを使って、パワーポイントを見せながら、穴あきプリントを埋めてもらって授業を進める方式をやっている。使ったパワーポイントファイルはここからダウンロード可能なようにしているけど、新聞切り抜きや本、雑誌からのコピーを張り付けてある部分は、著作権上削除してあるので、学生が復習に困らないようにと、その分は授業で資料としてコピーを配付している(これは合法)。このため、パワーポイントファイルの作成と、資料プリントの作成と、提出用穴あきノートの作成のために、毎週空き時間の全部をつぶして、深夜まで作業している。
 するとこの授業のある金曜日には、家に帰ると虚脱感で、こないだはソファーで寝転がっているときに手がしびれだし、立ち上がると立ちくらみで動けなくなった。びっくりして翌日の土曜日はひたすら寝ていた。
 しかし提出プリントは間違った所をチェックして教務課で返却しているので、日曜日にはいやでもそのチェック作業をしなければならないのである。
 自分で考案した方式だから誰にも文句が言えないのだが・・・

 こんな上に、公開講義のきりもりとか、町中の市民講座の講義とか、市の審議会とか、もろもろの地方政治がらみの運動とかが入ってきて、大変である。地方政治がらみの運動はほとんど手がまわらなくなったのだが、手がまわらないならまわらないで申し訳なくて結構心理的負担である。

 そしたらこないだは、トップページにも一時書いていたけど、健康診断結果が「肺に影がある」とかで、急きょ精密検査を受診させられた。毎日疲れてるし息苦しいし、思い当たることいっぱい! まあガンとかはあるまいと思っていたから、ちょっとしたことならしばらく入院するのも楽でいいとか思って行ってみたら、ただ写りが悪かっただけで何ともなかった。ちょっと残念かも。妻はその晩ケーキを買ってきたけど。

 こないだの日曜日は、翌日の公開講義にガーディアンエンジエルスの小田理事長が来られるのに合わせて、当地の薬物対策本部の人や、夜回りや少年更正に取り組んでいるNPOの人や、薬物依存者の自助更正グループの人と、小田理事長でキャンパスでシンポジウムを行った。これがまた、案内掲示物の作成と配置でバタバタし、看板持って走り回った上に総合司会やら懇親会の司会やらをして、まあなかなかの激動の一日だった。
 これも自分が発案したのだから誰にも文句が言えない。地元新聞報道の人数では、市民200人が集まって活発に質議がでたから、とりあえず大成功でよかったと思う。

 経済学概論の授業もようやくあと一回で終わりだ。でもこの週末中に市の審議会の宿題をやっておかなければならなくて、あと一山あるな。

 

 

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