松尾匡のページ

 06年7月26日 脱北者あしなが基金にご協力を


 久々の北朝鮮ネタを。
 ちょっと前に、「北朝鮮人権法」が成立した。不十分なところもあるが、現実の政治状況から見れば画期的だと思う。
 何しろ「脱北者支援」が明示されたのである。平壌政権による市民の犠牲の問題を、単に「日本人の拉致」という一国的問題にとどめず、人類的普遍性を持った人権侵害問題としてとらえる視点が通ったのである。すばらしいことである。このために努力されたすべての諸団体に敬意を表する。
 もちろん不十分なこともあるが、結局保守政党が作ったものだからしかたない。左派政党が反対したせいだ。全く、何のために左派やってるのだか。

 ところで、この法律が「脱北者支援」を掲げたことに対して、一部自民党右派が反対したほか、ネット上いたるところでネット右翼たちの猛烈な反対が巻き起こっている。
 それは全く右翼として筋の通った主張だ。左翼の筋の通らなさと比較するとホレボレする。国の民族的純粋性の確保こそ極右思想の神髄である。極右であるかぎり異民族排撃は当然のスタンスだ。
 であるならば、ネット右翼はこの筋をさらに通さなければ。
 平壌政権を倒す最も有効な手段は、東ドイツを崩壊させたものと同じである。大枚はたいてでも中国政府を説得し、どんどんと脱北者が流出できるようにすることである。それはやはり作戦をしかける側の日本が引き受けるしかない。しかも、どんな経緯であれ、北朝鮮現体制が崩壊すれば、だまされて北朝鮮につれていかれた元在日の人々とその家族はじめ、膨大な難民が日本にやってくる。それは止めようとしても物理的に無理な相談である。
 これらはネット右翼たちの立場からは認めがたいことのはずである。よって、以前にも一度書いたとおり、ネット右翼が筋を通すならば、全力をふるって北朝鮮現体制の崩壊を阻止しなければならない。彼らが北朝鮮現体制の崩壊を望むすべての言動は欺瞞ということになる。

 ということで、欺瞞ではなく、本気で平壌政権打倒を望む人の誰でもできること。
 「脱北者あしなが基金」というものがあります。
 「北朝鮮人権法」の「脱北者保護」規定が今後どこまで中身を持つかわかりませんが、これまでは、北朝鮮でひどいめにあって脱出し、死線をかいくぐって日本にやってきた人々に対して、何の公的な手立てもなされておらず、身の安全すら保障されていませんでした。特に、元在日の人の家族は、日本国籍を持っているにもかかわらずほったらかされてきました。
 「脱北者あしなが基金」はそんな一人の脱北日本人妻の娘さんに、日本で生きていくために必要な日本語を身につけてもらうための資金として始まりました。詳しくはこちらをご覧下さい。今後対象者は増えていくものと思われます。ご協力いただければさいわいです。
 

 

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