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08年11月17日 運転手さん達に講演に呼ばれた



 昨日16日日曜日、自動車交通労働者協同組合連合の学習会で講演してくれと言うことで、福岡県志免町に行ってまいりました。この団体は、今のところ、福岡県と大分県にある、労働者が自主経営するタクシー会社の集まりです。この二年、こちらの事務局長の緒方満さんに、久留米大学経済学部公開講義「市民参加のまちづくり」で、「ワーカーズコープタクシー福岡」という事業体の紹介をしてもらっていたのですが、そのご縁でこのたびの話をいただきました。ありがたいことです。お世話いただいた、緒方さん、高野さん、大瀬良さんはじめとするみなさん、ご参加いただいたみなさんに感謝いたします。
 講演内容は基本的に10月の公開講義のときのもの(「講義・演習」のコーナーにパワーポイント資料あり)を使い回したのですが、社会人には常識の学生向け説明は今回ちょっと省略し、代わって、労働者管理企業等の市民事業の「変質」の要因分析や、それを避けるための方法について、事例も含め、少し具体的に踏み込んで私見を展開しました。
 今回用に作り直したパワーポイント資料をアップロードしておきますので、ご関心のある方はダウンロードしてご覧下さい。
JiKouRouKouen.ppt 1.3MB

 まあ、油断すると、執行部独裁とか拝金主義とか事業拡張の行き過ぎとか(別にアールのつくところを念頭においているわけではない)になるし、そうかと思うと、閉鎖的になってカルト化するし、あるときは、低賃金過重労働になってよその労働者の足を引っ張るし、別のときには、権利の公的保障のために闘う当事者達に「自己解決」の実例を示して運動の足を引っ張るし、利用者や地域住民の都合を無視してズサんな事業を展開するし…いろいろな側面に「変質」の危険が潜んでいて、そうなる構造的要因がある。もともと疎外の克服こそが目的だったのに、かえってもっとひどい疎外をもたらしてはもともこもないので、そうなる危険の仕組みを分析して対策を立てようというのが講演の主旨でした。
 終わってから緒方さんが、たくさん思い当たるふしがあった一方で、大きく見て自分達のやってきたことに間違いは無かったと思ったとまとめてくださって、意を強くしました。その後の懇親会でも、いろいろな厳しい現場の諸問題の一端をあけすけに教えていただきましたが、困った問題を起こす事例もあちこちで見聞きするなか、たしかにこの人達は矛盾を誠実に直視して、開き直らずに悩みながら取り組んできたのだと感じ、頭が下がりました。
 特に、リーダーが労働運動出身としての労働者性の感性を忘れずに、経営の必要との間の板挟みの苦しみから逃げないところ。そして何より、自分のことは客観的に見られなくなるから気をつけなければならないと、リーダー自身が自戒し、やがては身を引いて後継に任せることを常に考えておられるところに、とても共感が持てました。
 …いや別に、アールのつくところと対比しているわけじゃないですよ。ホントに。

 こんなサイトを読んでいただいていたことが、すごく恐縮で、うれしはずかしでしたけど。


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