松尾匡のページ10年9月24日 新著『図解雑学:マルクス経済学』近日発売
※ 24日にアップしたとき、うっかり8月のカレンダーを見て以下の日付を書いていたため、曜日と日付が合っていませんでした。曜日の方が正しいです。日付は本日訂正しておきました。あいかわらずミスだらけですみません。(10年9月27日)
14日火曜の晩から石川県の実家に泊まって、15日は金沢の高校で模擬授業。インターネットがつながらなくて、アドリブで話しました。
高校生はノリがいいかと期待したけど、やっぱり笑い顔まではなんとかもらえても、笑い声を興すのは難しいね。大学生といっしょね。
終わってから進路の先生に立命館のセールス話をして、翌16日も金沢市内の高校を二校営業。朝最初の訪問先の近くで知り合いの金沢大学の教授とばったり遭って、遊びにこいと言うもんだから、高校訪問が終わってから金沢大学にいき、ギリギリのタイミングで実家に戻って空路九州に帰宅しました。
立命館は公式名刺を自費で作らせるんですよ。バカバカしいから作ってなくて、日頃は久留米大学非常勤講師の肩書きも入れた個人名刺を使っているのですが、福岡県あたりの営業ではそれですんでも、さすがに金沢の営業でその名刺ではまずいだろうと親から言われました。
それで急遽、実家のパソコンで手作りした名刺を使ったのですが、早速電話番号を書き間違えたことが二日目の朝、訪問先の前で判明。仕方ないので一日目の訪問先には葉書で訂正を知らせました。
16日の晩帰宅して自宅で泊まったと思ったら、翌17日金曜日の晩には上京。福岡空港の手荷物検査場でカードをかざしたら座席をとってないとかではねられ、満席になっているので調整しますと係の人に言われて待たされました。幸か不幸か飛行機が遅れていたので手続きが間に合って乗れたのですが、幸先が悪いと思っていたのです。
翌18日は経済理論学会の雑誌の編集委員会が立教大学でありました。
その日の委員会は1時間ちょっと長引きました。実は、立教が池袋にあると知ったカミさんから、東武池袋店で売っている取り寄せ不可のケーキを買ってこいという指令を受けていたのです。
急いで探しまわって買ったのですが、結局すんでのところで飛行機に乗り遅れてしまったのでした。
そのあとの最終便も満席で、品川に戻っても新幹線がない時間。東京に泊まるしかないのですが、20日朝からゼミ旅行なので、泊まるのならば九州に戻らずに直接関西に向かった方がいいと思ってカミさんに電話したら、無理そうなら買わなくていいと言ったはずだと激怒。
ケーキをどうするつもりなのか、帰ってこられない上にケーキも駄目になるというのなら、ケーキなしで帰ってきた方がよかったではないかともっともな理屈。
なんとしても明朝帰ってこいと言われたので、カウンターに行ったら、乗れなかった飛行機を明朝7時半の便に振り替えてくれました。
それで、係の人が宿のリストをくれたので、かたっぱしから電話したのですが、どこも満室!
あせって、何軒か間違い電話をかけてしまったお宅、本当にすみません。
せっぱつまって、『不況は人災です』でお世話になった筑摩書房の編集者の石島さんに電話して、「泊めて下さい」と頼み込んだら、お宅の近くの宿をとってくださいました。
石島さんは、奥さんが風邪で、本人もまだときどき咳こんでいるのに、夜中わざわざ出てきてくれて、夕食おごってくれた上に、宿代まで払って下さいました。必死に止めたのだけど押し切られて。
ああなんと偉大な石島さん。全く地獄に仏です。東京の交通ではいつも危機に陥るけど、いつもとても親切な人に助けられる。感謝感謝。
翌朝、飛行機に間に合うように5時半に宿を出たら、7時頃には空港到着。機械にカードを入れたら、振り替えてもらっているはずなのに、料金を請求してくる。
おかしいなと思ったのですが、ここでカウンターで一から話して手荷物検査が混んだりしたら、またまた乗れなくなるかもと思い、福岡空港でゆっくり話せば払い戻してくれるだろうと、通常料金38,600円をクレジットカードで払い込んだのでした。
無事福岡空港に着いたので、カウンターで事情を話したら、一度払い込んで乗ってしまった料金は払い戻しされないとのこと。
どうも前夜、朝空港についたら有人カウンターにきてくれということを言われていたらしいのです。…記憶にないのですけど。まあボクの記憶なのであてにはならないが。
交渉延々1時間半に及ぶが認められず…。
カミさんが電話をかけてきて今まで何してたと言うので、委細正直に話したら、どこまで要領が悪いのかと大激怒。
「でケーキは?」「あ」
宿を出て以来5時間、夏日の常温に放置されていた…。
さて、結局ケーキは、カミさんが副業に行って不在の中、食べるには支障のない状態で自宅の冷蔵庫に収まりました。
その晩にはゼミ旅行の前泊で立命館に行くのですが、カミさんが高校のPTAの役員会でいないので、家族の夕食の準備をしてから出かけました。まあこれも「何としても帰ってこい」という理由だったわけで。
ゼミ旅行は、20日から一泊で丹後に行きました。ゼミ旅行は去年も一昨年もちょっとトラブルがあったので、こんなツキでは今年もどうなるかと心配していたのですが、つつがなく終わって安心。まあ学修面では予定と比べて何も進まなかったのですけど、みんな楽しんだからまあいいや。
中国人留学生の男子ゼミ生が、学生結婚しているお連れ合いに家事万端押し付けられて抑圧されていることが判明し、同じ方向を向いて歩む同志として大いに盛り上がりました。久留米大学時代に、周囲の同僚達と「きょうさい組合」というのを作って、階級闘争と人権擁護のために闘おうとしていたのですが、もちろん勝てるはずもなく、ピア・カウンセリングだけが唯一の事業となっていたのですが、また心強い同志が加わったものです。
かくして、きょうさい組合もついにインターナショナルな連帯に乗り出したのだ。ピア・カウンセリング事業だけだけど。
帰りに工場見学に寄ったサントリーのビール工場で、そこでしか買えない「プレミアム・モルツ」の工場直送便を売っていたので、カミさんに電話かけて一箱買うかどうか聞いたら、興奮気味に是非買えとのこと。買った直後電話がかかり、もう一箱買えと指示が。機嫌が直ってよかった。
まあ、今度のことでよくわかりましたが、ボクは、「ケーキ買わないと」とか「乗り遅れないようにしないと」とか、そのときそのときの目の前の一つの課題にとらわれてしまって、いろいろなことへの影響を同時並行的に処理できないのですね。
だからボクにいろいろな仕事をふらせるとろくな結果にならないんだからね。みんなわかったね。
さて、新著、ナツメ社の『図解雑学』シリーズのマルクス経済学入門本が近日出ます。
当初は、これを読んだら『はだかの王様の経済学』が読めるというレベルでと言われていたのですが、結果的にはそこまでは行けなかったかも。
でも、イラストいっぱいで図解は丁寧なので、視覚的わかりやすさは絶対あると思います。
似顔絵類はボクの原画の方が絶対似てると思うし、エネルギーかけたイラストで、スペースがとれずに削られたのもわりとあってその点は残念なのですが、でもこのシリーズの中では格段におもしろくてわかりやすいイラストになったと自負しております。
ともかく、世の中でマルクス経済学と呼ばれているものがどんなものであるかの入門書ではない、その点は気にせず書けとのことでしたので、自由にのびのび書くことができたのは本当によかったです。
とはいえ、話一つを一ページにまとめなければならないというのはかなりの制約で、まるで俳句を作るみたい。どうしても収まらなかったら、いきなり分量が一ページ(しかもイラストも一ページ)増えるというのも大変でした。
メインは、「マルクスの基本定理」の数理を、全く数学を使わずに説明したことですが、歴史記述も思想的なことの解説も結構多くなって、今後に残された課題にも章をとって、ボクの解釈するマルクス体系はこれ一冊でコンパクトに一望できるという感じになりました。
ぜひぜひ一度お手にとってご覧になってみて下さい。
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