松尾匡のページ20年7月8日 一応太郎出馬反対したんだけどやっぱり黒幕にされて涙
【喘息になって晴れて「コロナ弱者」】
3月末日から発熱して一通り風邪の症状が出て二、三日続いたので、かかりつけのクリニックに電話したらコロナ相談窓口に電話しろということで受診を断られました。なので言われた通り電話してやっとつながったけど、案の定コロナ検査拒否されました。
しかたないので自力で治すしかないと、ひたすら寝てたのですが、ほかの症状はほどなく無くなったのですけど、気管の刺激感と痰だけは一向におさまりません。そのまま一週間ぐらいたったので、心の重圧に耐えきれず、またコロナ相談窓口に電話したのですが、やっぱり検査拒否されました。
それで、病院に行っていいかと聞いたら、いいと言われたものだから、それを錦の御旗に行きつけの病院に電話したら数日後診てくれることになりました。そしたら、その病院でたまたま別件で3月のはじめにCTを撮っていたのですが、それが肺や気管支も写っていたもので、そこから、喘息になっていると診断されました。
実は小さい子どもの頃、小児喘息だったのですが、再発したのかな。その日から毎日喘息の薬を使っていますが、効いているのかなあ。喘息持ちがコロナにかかったら重篤化するらしいし、この薬はステロイド剤なので、それ使っている人はなおさら重篤化しやすいし、晴れて「コロナ弱者」ですよ。オンライン授業なので、日に一回すぐ近所に食事の買い出しに行く以外は、原則毎日自宅に閉じこもっています。
このところ暑くなってきたので比較的調子がいいのですが、明ける前気温が下がるとしんどくなって目が覚めます。最近でもときどき日中も涼しい日がありますが、そうすると息苦しかったり咳き込んだり調子が悪いですね。数日前も夏なのにエアコンを暖房で30度に設定して日頃の気温を維持してなんとかしのぎました。
【さすがにコロナかもと思うのはビビりました】
やっぱり喘息って言われる前の臥せっているときは、まじコロナかと思って、熱出して息苦しくて胸に痛みも感じて一晩中眠れなかったりすると、死ぬ覚悟とかほんとにしましたよ。死ななくても、あちこち講演とか行動とか行きまくってたから、行った先々消毒とか隔離とかで迷惑かけることになって、「コロナばらまーく」とかネットで言われて社会的に抹殺されるのだなあと考えていました。
医者から喘息って言われたあとも、しばらくの間は、いやひょっとしてやっぱりコロナだったらどうするという心配が心の隅から抜け切らないものだから、いろいろドタバタしました。
事件1。なんか息苦しくて3時台から目が開いて、一日息苦しいと焦り続け、行きつけの病院に電話したら、応対した看護師さんが、なんでも、話を聞くだけで相手の呼吸数がわかるらしく、血中酸素濃度も、93とかならそんなしゃべりかたにはならないから大丈夫だとのこと。とりあえず言いくるめられたのかわかりませんが安心したのですが、結局、単なる鼻づまりが主因と自己判明しました。
事件2。ジュースの匂いがなんかおかしい。どうもおかしいという経験が続き、ドキドキしていたのですが、結局、冷蔵庫のプラグが抜けていたのが原因と判明しました。別の意味で心配なのですが、なんともありませんでした。
事件3。毎日薬を吸引しつづけても一向に治っている気配がなく、むしろ悪化してるんじゃないかという気がしてきたことがありました。毎日勢いよく吸引することで、気管にいたコロナウイルスを肺の奥に追いやっているのではないかとか心配になってきましたが...。実は、薬が切れていることに気づかず、空の吸引器を律儀に一週間ぐらい吸い続けていたのでした。
てなことをやっている間に、3月のCT撮ったときから数えるとずいぶん長くなり、さすがにコロナではあり得ない。もう今となっては4ヶ月なので全くコロナの心配はしてませんが、それはそれで「コロナ弱者」なのでやっぱり感染の心配はします。
そういうわけで、3月末日から病に臥せったときから、迷惑かけるからと思って外食にも銭湯にも行ってませんが、コロナじゃないとわかってからも行けませんねえ。こっちが感染する心配も正直ないわけではないですが、むしろ、突然発作を起こして咳き込んだりしたらほかのお客さんが怖がってお店に迷惑をかけると思うので行けてません。最近になると冷房効かせたりしてますからね。よけいにそれが怖い。近所の蕎麦屋とかお客さんがこなくて大変そうだから行ってあげたいのだけど。
こんなふうに言いましたけど、私の恐怖感なんて、本当にコロナ感染で亡くなられたかた、闘病されたかたの恐怖や苦しみ、日々感染の危険と隣り合わせのところで務めを果たされている方々の恐怖感と比べると全然たいしたことないと思います。亡くなられた方には哀悼の意を、闘病されたかた、されておられるかたにはお見舞いの意を、感染の危険と隣り合わせでお務めを果たされている方々には尊敬の意を、心から表します。
【一応太郎出馬反対したんだけどやっぱり黒幕にされて涙】
ところで東京都知事選挙は残念な結果でしたが、宇都宮陣営、山本太郎陣営で尽力されたかたがたのご努力に深く敬意を表します。大変おつかれさまでした。
実は、ちょっと前と、出馬記者会見の前夜に、太郎さんには出馬に反対する旨の意思は伝えてあったのですけどね。なのにやっぱりネット上では、私が出馬を指南した黒幕のようにみなして叩くのがあふれてるわ。推測とかじゃなくて、もう周知の事実のように扱われている。しらんがな。
弁明なりなんなりすると、宇都宮票と太郎票の間の関係に影響を与えてしまうかもしれませんので、両者の間で厳正に中立を保つためには黙って耐えるしかない。なので今まで何も発信しませんでした。「コロナ弱者」になって基本的に一日中一人で閉じこもる毎日で、基本あまりメンタルにはよくない状態でしたので、無実のことで叩かれ続けるとけっこうダウンになります。
もともと私は政治にはしろうとですし、太郎さんの政治判断には一切関与することはありません。今度のことで反対の意を伝えたときも、自分は政治はしろうとだし、聞き流してくれればいいと言ってあるし、先方もこのかんそのことを十分了解ずみのことです。
地方経済や地方財政もしろうとですので、公約を作ったりもしていません。都債15兆円も報道で知りましたが、その当否を判断する能力も私にはありません。額はともかく一般論としては、ギリシャにできないことがドイツにできるように、他の府県でできないことも東京にはできるでしょう。法制度のことはわかりませんが。
将来的に国政を動かすことが視野に入っているならば、額も大丈夫なのでしょう。
ちなみに、山本太郎選対のほか、私の知人の朴勝俊関学教授やcargoさんがこの財源論についての批判に応え、可能であることを説明しています。
【出馬記者会見前夜に反対メールした理由】
最終的に出馬を決めたこと自体も、記者会見で知ったことですし、その記者会見がいつあるかも正確には知りませんでした。ですが、このかん私は太郎さんの政治判断には口出しをする立場にはないし、自分には影響力はないと何遍言っていても、やっぱり知人たちから、出馬取りやめを説得してくれとメールが次々くるものだから困ってしまいます。ギリギリ間に合いそうなタイミングでアリバイ的にメールしたら出馬前夜だったというところです。
基本的には、出馬とりやめてほしいというメールがきている事実について伝えたものです。その上で、私は政治はしろうとだから読み流していいと毎度のとおり言った上で、私の懸念も述べておきました。
野党票が割れるとかそういうことじゃないです。太郎出馬がなかったとしても小池さんが過半数取るのは間違いないことで、そんな心配をすることは意味のないことです。
そうではなくて、懸念したのは、反緊縮シーンから左派的な影響力が引くと、極右的な影響が強まることです。
メールでの説明はごく簡単でしたので、ここでは敷衍して説明します。出馬自体が反緊縮にシンパシーを持っていた左派・リベラル派の人の中で反発を生むだけではありません。宇都宮陣営にとっての必要な戦略は、太郎側を批判して左派・リベラルの太郎シンパの票を取り込むこと、経済政策について迷っている左派・リベラルを自陣営に確実に固めることになります。そのためには、太郎側のつきぬけた反緊縮政策を批判することが最適になります。これは戦略上当然の反応です。
このことは、左派・リベラル派の世界の中で、反緊縮的なことを言いづらい雰囲気を作り出します。特に、戦闘的労働運動や貧困対策などの現場で最前線で取り組んでいる人たちの間でそうなることは致命的にやばいことになります。
また、今後太郎さんの政治家の連携相手は、当分のあいだ保守系の人にどうしても偏ることになると思います。するとそのことがまた、左派・リベラル的な人を反緊縮シーンから引かせることになると思います。
こうした要因で左派・リベラル系の影響が反緊縮シーンで弱まると、反緊縮シーンにおける極右的な勢力の影響力が強くなることが懸念されます。そうなると、ますます左派・リベラル的な人が引いて影響力がなくなり、そうするとますます極右の影響が強まり、この悪循環が続くことになる恐れがあります。
【爆発する怒りをどちらがつかむか】
新自由主義の犠牲になって生きづらさを感じているたくさんの人たちは、反緊縮シーンに極右しかなければ、極右を選ぶことになります。特に、コロナ感染が落ち着いた頃は、サプライチェーンが復活する一方で、世界中で人々がリスクに備えて支出をコロナ前よりも抑えるので、もし政府支出が足りなければ強い需要不足圧力を受けることになります。そのためにたくさんの職を得られないままの人たちが出ているその時に、このかんに一段と増えた政府債務をどうするのか、復興増税や歳出抑制が必要なのではないかという、傷口に塩を刷り込むことが議論の俎上にのぼることになります。
ここで何かの国政選挙を迎えたときどうなるでしょうか。ひとつあり得る可能性は、このかん緊縮政党のイメージを払拭するのにしゃかりきになってきた維新の会が、いっそう反緊縮的な見せかけを強め、国民民主党の一部の積極財政派を巻き込んで、復興増税や歳出抑制に反対し、このかんの政府の緊縮策のもたらした残状を批判する作戦でくることです。そうなったら、れいわ新撰組単独では、彼らの躍進を止めることはできないでしょう。あるいはもっと極右的な勢力がこの役を担って躍進することになるかもしれません。
これをどうするかというと(少なくとも私の技能では)ネットでどうにかなるものではないですからね。東京は私の手の及ぶものではありません。今のところ関西の反緊縮界はどうにかこうにか左派がリードしているように思いますが(まあ、維新にもう食われきっているからというところはありますが)、今後一層各方面の信頼関係の構築に努め、なんとか今回の事態の悪影響が及ばないようにするほかないと思っています。とはいっても、コロナ弱者になって閉じこもっているために、身動き取れないのがもどかしいところですが。
世界的に見ても、今、「レフト3.0」の左派ポピュリズムは、怒れる大衆の支持を右派ポピュリズムに食われて押され気味になっています。今後コロナ感染が収束したら、緊縮のせいで肉親をコロナで奪われたイタリアはじめ欧州中の大衆がブリュッセルに押し寄せて大変なことになると思います。同じようなときに、やはり、コロナ対策で膨れ上がった政府債務をどうするかということで、緊縮や増税が議論になるでしょうから、それへの反発で怒りが燃え上がるでしょう。このエネルギーを右派に渡さずに左派ポピュリズムが救うことができるか、正念場を迎えると思います。
【久留米の家はなんとか氾濫を免れました】
ところで、今回の九州の水害、お亡くなりになったかたのご冥福をお祈りいたしますとともに、被災されたかたにはお見舞い申し上げます。今、京都で一人閉じこもっていますが、妻と猫が久留米の家にいて、筑後川のそばなので、上流の方で氾濫したと聞いて心配していました。
結局、堤防限界に至る前に水位が下がり、大事にはなりませんでした。よかった。数年前にも、ぎりぎりまで迫ったけど大丈夫だったことがありました。
あの堤防は、たしか90年代だったと思いますが、当時あのへん選出の民主党の議員の力で作ったもので、当時はまだ民主党と言えば公共事業批判していた時代でしたので、支持者の間で評判が悪かった記憶があります。でも今から振り返ればつくづくやってよかったですね。治水のためにお金を使うことは本当に大事だと身にしみて思いました。
そう言えば橋下徹さんが、去年の10月13日のテレビ番組「Mrサンデー」で、「都市部に被害が出ないよう上流部であえて氾濫させるという考え方がある。淀川の氾濫を防ぐため瀬田川堰を閉め琵琶湖を氾濫させる」と発言して話題になりました。発言自体は行政がこういう判断をするときはあるという一般論でした。けど、橋下府政成立以降、現在までに大阪の治水予算は5分の1以下に減らされています。治水政策で目指すものが、維新前の「80ミリの雨で家が流されるのを防ぐ」から維新府政で「65ミリの雨で床下浸水されるのを防ぐ」に変更されていて、それ以上のものは「防ぐ」のではなくて「逃げる」に対応が変わっています。そんなことをやってきた当事者が言うと、自分の政策のツケをまわして、滋賀県で琵琶湖を氾濫させるという意味になります。
滋賀県民が大阪や京都の人に殺し文句として言う「琵琶湖の水止めたろか」を本当に実行したらどうなるかというくだらないネタを、本当に真面目にシミュレーションした人がいます。瀬田川堰を閉めたときの琵琶湖の水位上昇をグーグルアース上で見せているのですが、職場キャンパスがあるところが滋賀ですので名前を見たことのある町が、次々と琵琶湖に飲まれていきます。橋下さんの発言を念頭におきながら見ると味わい深いものがあります。
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