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 『市民参加のまちづくり』第13章の訂正


 松山大学の松本直樹氏のご指摘により、共著書『市民参加のまちづくり』第13章「イベント・コンベンションの経済波及効果の正しい推計法」に以下の二点の誤りがあることが判明した。

1.
 197ページ注5において、平均消費性向が0.632となっている。
 これは長崎県統計課の産業連関ソフトにあらかじめはいっていたもので、このソフトでは、第1次波及効果の雇用者所得増を自動的にこれにかけて第2次波及効果を出すための消費需要を計算していた。
 雇用者所得を第2次波及効果計算用のベースに用いるのは、通常よくなされる方法である。地方の産業連関分析の場合、支店経済となっているから、付加価値のうち利潤のかなりの部分は地域外に流出し、第2次波及効果には結びつかない。したがって付加価値増によって消費需要増を計算するのではなく、雇用者所得増だけによって消費需要増を計算するのはとりあえず適切である。
 しかし、もしそうならば、平均消費性向は雇用者所得にしめる総消費額によって算出しなければ整合的ではない。実際、私のその後の福岡県における計測ではすべて雇用者所得にしめる総消費額の割合で、平均消費性向を計算してきた。
 ところが、このほどこの0.632という数字の根拠を調べてみたところ、どうやらそうはなっておらず、付加価値にしめる消費の割合で計算しているらしいことがわかった。
 もしそうならば、雇用者所得の増加をこれにかけて消費増を出すのは間違いである。付加価値の増加から計算しなければならない。長崎県のソフトにはその点で矛盾がある。
 本来は平均消費性向は雇用者所得にしめる消費額を使うべきであり、たいていの県ではこれはほとんど1に近くなる。そして、雇用者所得の増加をこれにかけて消費増を導出するべきである。

2.
 201ページの[補録」の3に、「ガソリン代」が「化学製品」に分類されるかのような記述がある。
 これは、原稿段階のミスで、正しくは「石油・石炭製品」に分類される。訂正し、おわび申し上げます。
 実際の推計作業は、正しく「石油・石炭製品」に分類してなされていることを確認している。
 

  

 

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