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 04年7月13日 参院選革新惨敗は戦術負け


なんで地区割りなんかするんだぁ?
 参議院選挙、予想通り革新勢力惨敗である。平壌政権へのコミットメントの過去を持たない「みどりの会議」まで議席ゼロ。
 本質的に政策の上で反省すべき点も多々あるが、純粋に戦術の面だけで見てもアホなことばかりしているという感じだった。
 だいたい、非拘束名簿式の比例代表選挙で、なんで地区割りなんかするんだろう。意味ないやんか。さっぱりわからない。
 「みどりの会議」など、党派名が全然知られていないのだから、なにはさておいてもモンジロウ中村敦夫のポスターを全国に貼り巡らせるべきだろう。社民党も福島瑞穂のポスターを全国に貼るべきだった。両党とも、もともと他候補の誰も、党首よりも票が取れると思っていた者はいなかったはずだ。だったら全国で党首の宣伝をしても、他候補にとってはいまさら何の迷惑にもならない。かえって党の議席枠が増えてありがたい。潜在的支持者が党首に取られて、その分、党首以外の他候補に負けてしまうかもと思うかもしれないが、だったら自分の支持者を増やすように競争すればいいのであって、互いにそうした結果は党全体の得票が増えることにつながる。
 いったい地区割りしてなんのメリットがあったのか。非拘束名簿式の特徴は候補者間競争が共倒れをもたらさないことにある。競争すればするほど党全体の得票が増える。地区割りはそのメカニズムをわざわざ止めたことになる。

地区割りするなら共同名簿を
 そもそも、3月23日のエッセーで紹介した平和憲法共同名簿を目指す運動がポシャった時点で、こりゃもうだめだと思った。
 技術的な仕組みについては、詳しくは昨年5月15日のエッセーに書いてある。
 例えば、社民党と共産党は仲が悪いが、別に何も仲良くしなくても共同名簿が組めるのである。立候補届けは「革新共同名簿」などとして共同して出しておいて、社民党は社民党の中で、共産党は共産党の中で地区割りして、同一地区の社共の候補者間では激しく競争すればよい。どんなに激しくぶつかりあっても、名簿全体の得票には響かない。かえって票が掘り起こされて、名簿全体の議席枠が増えて、社共ともにトクをする。別に何も互いに相手に譲ることなく、トクだけがあるのである。
 社共をともに含むことは現実問題として無理かもしれない。しかし、せめて社民とみどりの会議の間ではやるべきであった。どうせ地区割りするなら、あんな何の意味もない形での地区割りなどすべきでない。共同名簿にしてこそ、地区割りする意味があった。

沖縄圧勝からわかること
 沖縄には沖縄の特殊性があるかもしれないが、全野党共闘候補は自公推薦候補に圧勝した。本当は非拘束名簿式なら、全野党統一名簿でも何の不都合もないのだが、さすがにそれは無理だろう。しかし、革新勢力がまとまるだけでも、自民党に対する公明党の影響力をしのぐ影響力を、現行選挙制度のもとでも発揮できるのである。
 別に、合同しろとか仲良くしろとか、ナイーブなことは言わない。年中ケンカばかりしてて結構。しかし、ケンカしてても、それがかえって互いのトクになるような手の組み方があるならば、せめてそれくらいはすべきではないか。こういう御時世なのだから。
 今回各党派が一見無意味な地区割りなどやって惨敗したのも、次回の名簿合同に向けた練習のためだったと思えば、少しは希望が持てるかも。
 
 
 

 
 
 

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