松尾匡のページ12年11月14日 何度も書くが、共同体主義は不倶戴天です!
このかんエッセーを更新する暇がホントにないのですが、そうも言っていられないので取り急ぎ。
毎日新聞大阪版の本日付け朝刊の、「おおさか発・プラスα 文化」で、拙著『新しい左翼入門』にからめて、ボクの考えをお取り上げいただいています。
大きくお取り上げいただいたことは大変ありがたく、早速アマゾンでも動いていて、本当に感謝の至りです。
それはいいのですが、全体がこんなふうなまとめかたになっているとは知らなかったので、読者に誤解されないかと心配になっています。といっても、このサイトを長くご覧いただいているかたには無用のことでしょうから、こんなところに釈明を書いてもしかたないかもしれませんね。でも、ほかに手段がありませんので…。「拡散希望」ということで。
記事の文章は、ネットでも読めます。次のリンク先をご覧下さい。
カルチャー・インサイド:共同体論で近接 保守の柴山桂太・滋賀大准教授/革新の松尾匡・立命館大教授
記事では、最近『静かなる大恐慌』を書かれた、保守の若手論客、柴山圭太滋賀大学准教授と並べていただいています。
これは大変栄誉なことと思いましたが、まさか、「近接」という扱いになっているとは!
本サイトの「右翼と左翼」でも書いた、「右派を名乗る逆左翼」(小泉・橋下系)とか「左派を名乗る逆右翼」が困ったものだということに関しては、柴山さんとは大いに賛同しあえるだろうと思っています。その点は取材いただいた際にも、記者のかたも納得されたことだと思います。
その上で柴山さんとは、これからあるべき対決軸の両極をそれぞれ占める「好敵手」的な扱いで対比してくださるのだとばかり思っていました。
それが、「近接」という扱いになるのだから!
取材のときにも、さんざんコミュニタリアン(共同体主義)批判をしたので、ご納得いただいたものと思っていたのですけど。このサイトでも、何度か「コミュニタリアンは不倶戴天」と書いてきましたよね。
ボクの話の部分は、原稿を見せていただいていたので、NPOなどによる下からの変革路線は、「下を重視する左翼だけでなくウチ優先の右翼あるいは保守も乗りやすい」から「気をつけなければならない」的なニュアンスの流れになるように、こちらから文章提案したのですが…。
世の中を「ウチ/ソト」に縦に割る見方をとるかどうかが、まずもって世界観の違いとして重要だというのが、ボクの年来の主張です。左翼はそれを自覚して、世の中を「ウチ/ソト」に縦に割る見方をとらないという立場をはっきりさせなければならないと強調してきたわけです。新自由主義とグローバリズムが「ウチ/ソト」の壁を壊してきた結果は、歴史の進歩として引き受けなければならないとまで言ってきました。
NPOや協同組合なども、「ウチ/ソト」原理によって、身内共同体になってしまっては駄目だというのが、『新しい左翼入門』でも「銑次の道」の変質の道として強調したことですし、『商人道ノスヽメ』でも『市民参加のまちづくり』シリーズでも『図解雑学マルクス経済学』でもしつこく言ってきたことです。
「エッセー」目次へホームページへもどる